信託(リサーチカフェ)

家族信託って何なの?

「信託」とは、「委託者」が「受託者」に、「「受益者」のために自分の財産を管理・運用・処分する。」ように依頼する財産管理・承継制度です。そして、受託者が唯一の権限者として信託事務を遂行していきます。委任の場合は委任者が所有権を保持し、指図しますが、信託の場合は所有名義が受託者なのです。

この「信託」はイギリス発祥ですが、アメリカはじめ諸外国で広く活用されていて、日本にも日露戦争の頃に導入されました。今では企業の売掛金債権・銀行の住宅ローン債権の流動化や個人の資産運用にも「信託」が使われているというように幅広く使われています。投資信託もそうですね。日本国憲法前文にも「信託」が記載されています(戦勝国アメリカで「信託」が広く一般的に使われていたことを示しています)。

最近、家族が受託者となって、高齢者の財産の管理・相続を円滑に行っていく信託方法が活用され始めました。信託の場合は自分の財産管理以外に、自分の死後も引き続き金銭給付を継続したり、最初は配偶者が、その次は子にといったように順次受益者を連続させていくことも可能です。自分の死後も、障害を持つ子に生活費を給付し続けていくといった親亡き後問題にも活用されています。

信託財産を受託者に名義変更し、受託者が管理運用処分

信託は受託者がポイント

最近は家族信託が高齢者の財産管理手段や相続対策として脚光を浴びています。それは、「信託」が従来の民法等では実現できなかった管理や相続を実現できることが世に知られてきたからです。たとえば、「障害を持つ子に自分の死後も生活費を給付していきたい」場合、それを委任しておいても、委任は本人の死亡によって終了するため、死後の対策にはなりません。遺言で負担付遺贈を規定しておいても、長期間に亘って受遺者が負担を実施してくれるかが心配です。

信託は意思凍結機能があるので、例えば特定贈与信託のよう昭和51年から「障害を持つ子に自分の死後も生活費を給付していく」ことが実現されています。しかも、信託法改正までは財産を管理・運用・給付していく受託者が信託銀行等に限られていて、信託銀行等は金融庁や日銀の検査を受けて事務の堅確性が担保されていたので、委託者としては安心して信託を設定できました。

これに対し、今日、家族や友人が受託者になることができる時代になりましたが、「誰を受託者に選ぶのか」は自己責任です。信託の特徴は、所有者として管理する受託者には厳しい義務・責任が、受益者には強力な監督的権能が与えられているので、受託者が健常な場合は大きな問題はありません。従って、ファンド組成や資産流動化といったプロ間取引の場合はこの制度がよく機能するのですが、民事信託・家族信託で委託者兼受益者と受託者が家族である場合、この制度が機能し辛い場合が予想されます。成年後見制度と異なり、信託には外部の監督機関がないので、信託監督人等を設置しておく等の工夫が必要になります。