成年後見(リサーチカフェ)

成年後見制度とは?

成年後見制度は判断能力の十分でない人(成年)に対し、本人の権利を守る援助者を選任することによって法律的に本人を支援する制度です。判断能力が不十分になってから主に家族等から家庭裁判所に申し立てる法定後見制度と、本人が健常なうちに自ら後見人となる人を定めてその人と公正証書で契約を締結しておく任意後見制度に分かれています。

法定後見制度は更に判断能力が無い人のための後見類型、判断能力が著しく不十分な人のための保佐類型、判断能力が不十分であるが自ら判断することも一部可能な人のための補助類型に分かれており、それぞれ援助者として家庭裁判所で選任審判される後見人、保佐人、補助人の権限が異なっています。 この制度利用の申立ては、本人、配偶者、四親等内の親族、市町村長等が本人の住所地を管轄する家庭裁判所に行い、家庭裁判所が内容を検討のうえ審判します。その後は、後見人等が本人のために財産管理、身上監護事務を行っていき、家庭裁判所が定期的に報告を求めて事務遂行をチェックしていきます。

任意後見制度は本人に判断能力があるうちに、将来判断能力が不十分な状態になった場合に備えてあらかじめ任意後見人に一定の法律行為に対する代理権を与える旨の契約を締結しておく制度であり、公正証書で作成する必要があります。 この契約は、本人の判断能力が不十分になり任意後見人候補者等が家庭裁判所に申し立てて任意後見監督人が選任されることで本契約が発効する停止条件付契約です。任意後見監督人選任後は、任意後見人が本人のために財産管理、身上監護事務を行っていき、任意後見監督人が定期的に報告を求めて事務遂行をチェックしていきます。

日常生活自立支援事業とは?

社会福祉法§2③規定の第2種社会福祉事業の一つとして社会福祉協議会が中心となって、福祉サービスの利用援助等と共に各種契約行為や行政手続き、預金の預入・払戻手続き等を代理行為として行なっています。

本制度は判断能力が不十分であるが本事業の契約の内容について判断し得る能力を有していると認められる人が対象であり、成年後見制度利用に至らない程度の判断能力の人が活用していますが、平成27年度末の利用者数は46,687人に留まっています。本制度は自己の契約行為として行うので成年後見制度に比べて比較的簡易に開始できる点や支援内容が法律行為のみならず福祉サービス利用援助や日常的金銭管理も行う点が優れていますが、判断能力の減退が進行すれば成年後見制度に移行せざるを得ず、最終的な手段にならない場合もあります。

成年後見制度と信託制度の相違点

成年後見制度と信託制度は、いずれも高齢者の財産管理のための優れた制度ですが、以下のような相違点があります。

①開始時期
成年後見制度は被後見人が判断能力をなくすことによって開始されるため、判断能力の減退から後見開始審判までにタイムラグを生ずる問題があります。これを防ぐ手段としては任意後見制度があります。
一方、信託制度では、始期は当事者の契約等により決められるのでフレキシブルな対応が可能になりますが、意思能力を失ってから新たに信託契約を行うことはできません。

②終了
成年後見制度は被後見人の死亡によって終了する、「本人のための制度」である為、自己の死亡後にも配偶者や障害のある子に給付していくといった配偶者亡き後問題、親亡き後問題の解決には適していません。
一方、信託制度は契約によって、委託者死亡後も受益者への給付が可能ですし、遺言による信託設定では委託者の死亡によって受益者への給付が開始されます。自分の死後の対応を考える場合は信託が必要です。

③カバーされるエリア
成年後見制度は被後見人の「財産管理」のみならず被後見人の施設入居やヘルパー派遣契約等の「身上監護」事務も行います。
一方、信託制度は財産管理のみに留まります。

④監督制度
成年後見制度は法定後見では家庭裁判所が、任意後見では後見監督人が後見事務を監督して不正行為を防止する仕組みですが、信託制度では外部の監督機関がなく、受益者が強力な監督権能で受託者を監督する仕組みです。しかし、判断能力が減退した高齢者等の場合、自ら受託者を監督することが困難な場合があります。

⑤担い手へのバックアップ
成年後見制度では、家庭裁判所に後見事務に関する様々な相談ができます。しかし、信託制度ではこのような相談機関がまだ未成熟です。